皇帝との遭遇
外に出ると、日中と言うのに少し日が陰っていた。
ユーリは丁度いい天気ね、とつぶやくとホル・ホースのほうを向いた。
「丁度いい、ね。まるで日光でも嫌っているようだ。」
「嫌いよ。」
その白い肌を保つためかと聞かれるがユーリはいいえと首を横に振る。
女が日光を嫌う理由と言えば、紫外線か暑さくらいしかない。
このカイロは暑い、だが黒いセーラー服を着たユーリは涼しい顔をして汗も全くかいていない。
一体何故太陽を嫌うのかホル・ホースにはわからなかった。
「その顔だと私が太陽が嫌いな理由がわからないみたいね。
ふふっ、答えはDIOと同じよ」
「DIOと……同じ…?」
「そうよ、吸血鬼なの。私」
そう言って怪しく笑うユーリに、ホル・ホースは戦慄した。
目を合わした瞬間にDIOと対峙した時と同じような、背骨に氷を詰められたような気分。
だが、汗はかかない。震えがするわけでもない、ただ、硬直してしまった。
「そんなに怖がることないじゃない。あそこまで私化け物じみてないわよ。」
「たしかに……あんたのほうがいくらかましだ。もし殺されるならの話だが」
「DIOの部下に手出しはしないわ。それこそ私がDIOに殺されちゃうかもしれないもの。」
もうちょっと長く生きていたいの、と笑うとその場の緊張感が薄れた。
目を見た瞬間なぜあれほど戦慄したのかが不思議なくらいに。
「一つ質問していいか?」
「なにかしら、年齢以外なら答えるわ」
「女性の年齢を聞くなんて野暮なことしないぜ、俺は
吸血鬼なら、何故外に出たんだ?DIOはあんたも知っての通り昼間も暗い館にいる、同じ吸血鬼なら外に出ただけで死ぬだろ?」
そう言われ、ユーリは私にもよくわからない、と言いながら考える。
「あくまでも私の予想だけど、DIOと私は同じようで違う。吸血鬼になった過程も、種族としても少し違うものなんだと思うわ。彼は日光に当たれば死んでしまう、私は日光よりも白木の杭のほうが怖いけど。」
白木の杭をDIOにやっても意味ない、と付け足すとユーリは以上と言って話をやめる。
「簡単に弱点を言ってくれるとは思わなかったぜ、もし俺が白木の杭を持ってきたらどうする」
「持ってくるような人に見えなかったから言ったのよ。私の見当違いなら殺されても文句は言わないけど」
そうユーリが言うと、ホル・ホースは正解と言った。
「俺は女に嘘はつくが手は上げねえ、ブスだろうが美人だろうが同じだ。特にユーリみたいな美人を殺すようなことは絶対にない」
「……そう、その精神どっかの誰かさんに叩き込んでほしいわ。」
はぁ、とユーリはため息をついた。
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