皇帝との遭遇
「そういえば、この館いつもの4人以外人いないのかしら?」
「いるぞ」
「まぁそうよね。まだ挨拶もしていないわ、どこに居るの」
「……どこだったかな…」
「ボケを治す本でも買ってくるわ」
そういうわけで、ユーリは館を歩いていた。
どこに何があるのかは把握しているものの、まだ入ったことのない部屋は沢山あると歩きながら
DIOのボケについてどうしたものかと思った。
「やっぱり120年も生きていれば細かい事は忘れてしまうのね…」
自分はそうなりたくないと思い廊下の曲がり角を曲がったときだった。
ドンッと軽くぶつかる音がしてユーリは少しよろめいた。
「おっと、大丈夫か?お嬢さん……この館ではじめて見る顔だな…」
ぶつかったのはいかにもガンマンという感じの男だった。
「大丈夫よ、はじめまして私はユーリ。訳あってこの館にいるの」
「ユーリか、美しい容姿に似合った名前だ。
俺の名前はホル・ホース。訳あってこの館に……まさかあんたDIO、様の食料じゃ……」
様がつくのが少し遅れたところ、ヴァニラの様にDIOに凄く忠誠を誓っている訳じゃないとユーリは理解した。
「違うわ、食べられるのは趣味じゃないの」
DIOの食料ね、とユーリは苦笑してから言う。
「なら良かったぜ、それにしてもユーリ、この館でDIO様を呼び捨てにするとはかなり危険だ。忠誠を誓っていないとはいえここでは……」
「忠告ありがとう。でもDIO様、とは言わないわよ。私はあくまでも協力者であり客だもの。DIO以上の立場でもなく以下の立場でもないの。」
客、とききホル・ホースはユーリはいったい何者なのかと思った。
この館にDIOと同等の立場と言うものを見たことがない。大抵が部下である。
この館に居る女にしてもそうだ、DIOに魅了されている女ばかりで食料や部下ばかり。
「DIO様と同等の立場……お嬢さん何者だ?」
「まあ、こんなところで話していないで外に出ましょう?ここにあまり居たくないでしょ、あなたは」
ユーリはそういうと玄関に向かう。
心を見透かすような不思議な少女、ユーリにホル・ホースはついて行くのだった。
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