スタンドの有効活用
この状況にどこかデジャブを感じながらDIOはどうしたものかと考える。
クリームがユーリに突進するたびユーリは蝙蝠になりそれをよける。
前回同様、ユーリのほうが一枚上手と言ったところであった。
が、やはり前回同様部屋の壊れ具合もまずい。
「スタンドの有効活用……そうか、この手が!」
先程のユーリの言葉を思い出しDIOはザ・ワールドを使った。
「時さえ止めればこのDIOの独壇場!何故こんな簡単なことに……」
ここまで言ってDIOは気がついた。
前回と状況が完全に一致したことに。
5秒止めてもこの状況は何も変わらないことに。
「………」
意味なく5秒が過ぎ、時が動き出す。
「猛進してくる物ほど避けやすいものはないわね。」
が、今回は時が動くとすぐに決着はついたようで避けたユーリがヴァニラの背後にいた。
「貴様…ッ」
「そろそろやめにしましょ、あなたの敬愛するDIO様もこれ以上この部屋を壊されるのは困るみたいだし。」
「……次こそは…」
「次こそは和解してみましょうか」
そういうとユーリは室内を出た。
それに続きDIOも部屋を出る。
「やっぱりDIOの能力があったらいいわね。」
部屋を出るとユーリはDIOに言った。
「数秒止めてどうする?」
「数秒もあればさっきの子をもっと楽にあしらえるわ。」
ふふっと笑ってユーリは言う。
いつも挑発するのは誰なんだか、とDIOは思った。
「それにしてもユーリ、お前のスタンド能力は何なのだ?他のものの能力を気にするのはわかるが自分の能力は……」
「え?私の能力ならこの前言ったじゃない」
「この前……?」
DIOには思い当たる節がなかった。
ユーリのスタンドは矢を刺した時に一度見たが能力を使っていたところは見たことがない。
普通ならば能力は把握しておきたいところであるが、ユーリはあくまでも協力者であり客ということになっている。部下などのようにはいかない。
「………ああ、そうだったわね。言ってないわ。」
そういうユーリの表情は、どこか複雑であった。
「ユーリ「内緒。」
内緒よ、ともう一度言うとユーリは蝙蝠になり自分の部屋に戻っていった。
DIOはユーリがいったいなぜあんな表情をしていたのか理解できないでいた。
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