偵察という名の遊び




「何をやっているんだ…あいつは」


「え?あいさつよ?」


ジョースター一行から少し離れた裏路地、ヴァニラは突然現れたユーリに驚いた。


「お前、今ので帰ったんじゃあなかったのか?」


「ヴァニラを置いて帰らないわよ。」


あきれ顔でユーリが言う。ヴァニラは少し腹が立った。


「それにしても、敵に捕まるとは馬鹿か」


「捕まったのはわざとよ。簡単に抜け出せるし。久方の再会をしただけよ。」


「久方の再会?」


ユーリの言葉に引っかかる点があった。


「そうよ、久方の。向こうは絶対に覚えているわけないけれど。

貴方とも久方の再会なんだけどね。」



「俺と?お前なんかとは昔あった覚えなどない。」


ふざけ半分だったユーリの顔が真面目になった。



「そうね、遠い昔であり遠い未来に会ったわ。」



そういったユーリの顔はどこか悲しげであった。

どうしようもなかった、そんなあきらめがどこかうかがえた。


「空条承太郎にだって遠い未来、遠い過去に会った。だから…」


「……」


「真に受けた?」


「は?」


「冗談よ、残念だけど。」


くすくすと笑うユーリにヴァニラはからかわれたのだと理解する。


だが、


その言葉すらも、ヴァニラには冗談に聞こえた。



本当は、どこかで出会っていたのではないかと。




「早く帰るわよ?……はぁ」


「なんだ、ため息なんかついて」


「館に帰ったらまたあなたはあの服に戻ると考えるともったいなくて…」


「ため息つくほどのことかッ!」



とはいってもこの件を境に二人の仲が懐柔されることなんかなかった。




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