偵察と言う名の遊び
「今回も刺客を向かわせていたはずよね、そいつとの戦いを観察して、なにかウィークポイントでも見つけられたらいいけど」
ジョースター一行の居る街につき、ユーリは呟く。
二人はジョースター一行を探しながら街のど真ん中を堂々と歩いていた。
いざ鉢合わせても向こうはこちらを知らないからである。
と、そんなときであった。
「あら……いまのスタンド使い?」
ユーリが振り向いて言う。
「止まれ。」
ヴァニラがユーリの足を止めた。
「あら、ジョースター一行……ということはさっきの人が刺客ってことね。」
ユーリがそう確信を持った時だった。
「おいてめぇら!それ以上こっちに近づくなよッ!」
先程の男がユーリのすぐ後ろにいて、ユーリに向けてナイフを突き立てようとしている。
そうユーリが理解した時にはユーリは人質のようになっていた。
「あら、これは前回はなかった展開ね。」
上、横、を見ると針のようなものがユーリの周りを取り囲んでいる。
下手に動けば刺さる仕様、つまり
これはこの男のスタンド能力だと思い、それが見えないふりをしつつ
ナイフを向けられておびえている女、をユーリは演じることにした。
ヴァニラに目配せで手を出さずにこの戦いを見ておけと伝えようとしたが、それをする前からヴァニラはこの戦いに手を出すつもりも何もなかったようだ。
(((仲が悪くてもいいことはあるものね)))
苦笑しつつユーリは思ったが、それはそうとして人質の演技を続けた。
「だ、誰か助けて!!」
「関係のない人を巻き込むなッ!」
対峙して一番最初に口を開いたのはジョセフ。
「ハハハッ、これ以上近づいてみなすぐにこの女はハリネズミだァーッ」
「仮にそうしたとして、テメーはそのあとどうする?」
「ハァ?…お、おい近づくなって言ってんだろ」
承太郎は男の言葉を無視して近づく。
(((…仮にこのまま私が刺されたとして…まあ生きてはいられるわね。変な毒とかあったりしなきゃの話だけど)))
白木の杭でもない限り死なないユーリは結構他人事にその様子を見ていた。
「本当にこの女をハリネズミにするぞ!!この…グェッ」
何かがすごい速さで横切ったのがわかった。
ユーリがそれに気付くと同時に後ろにいた男は倒れ、針もなくなっていた。
「……石つぶてってやつね。」
そう呟いてユーリは承太郎のもとに駆け寄る。
そしてそのまま
「こ、怖かったよー……」
べたなセリフを言って抱きついた。
「………」
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