まいごのにんぎょ

#いいねした人とリプでつなげるリレー小説
目次
@秋桜みりや @mrycs0219
A紫苑さん @killer_meets_X
Bにねさん @45fV4yIYAPmpqNn
C石見さん @ryf08chs12
さし絵
仲山拓人さん @n_ankhbayar



@
 こんな生活嫌だ! 歌も嫌い! 家出したら暗い海の底で迷子になっちゃった。途方にくれていると白い鯨が遠くで潮をふいてるのが見えた。もしかしたら何か知っているかもしれない。エメラルド色の泡に向かって泳ぐ。いい忘れてたけれど私には鱗のついたしっぽがついてて頭にはティアラがのっている。

A
「おやおや、お姫さま。ここは危のうございますよ」
 白い鯨は私のことを知っているらしかった。迷子だということを告げると、白い鯨は可笑しそうに大きな体を揺らした。
「お姫さまが迷子とは。異な事をおっしゃる。あなたさまはいずれ海を統べる御方。道は、しっぽが教えてくれましょう」

B
 白い鯨の助言に従い、しっぽが動くに任せて泳ぐ。藻に覆われた石造りの建物に行き着いた。門番のヒラメとカレイが無言で私に道を譲る。
 ここは、霊廟。代々この海を統べてきた、私たちのご先祖様が眠る場所。
「私はこの血を継ぐ者なのだわ……」
 海の底に差すはずのない光がティアラに虹をかけた。

C
 光は歌い、心は凪いだ。そうだ、私たちの歌は万物を癒す。
『今は学びなさい我が末裔。優しさを歌えば海に愛され危険は去り、自由に泳ぎ回れる日が来るよ』
 希望を得て霊廟を出ると、白い鯨が待っていた。
「先代に歌を頂いたぶん、道中お守りしますよ」
 素直にお礼を言って、私は家路を辿りはじめた。



素敵な作品をありがとうございました!
駄々っ子設定だったお姫様を、素直に自信をもたせ、ちょこっと大人に成長させていただきました!
皆様美しく描写していただきありがとうございました!
また機会があればお願いします*
2020.05.23〜2020.05.27
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