ヘブンズパス

第一夜 プロローグ



 真っ白な空間の中で一際白く輝く光。点滅するそれを消えないでほしいと祈りながら懸命に追いかける。あれが何だか分からないが、あれに追いつかなくては。その思考だけで足を動かす。白い光はそんなことおかまいなしに細い道を昇っていく。

 だが近づこうとすればするほど、その光は離れていくように見える。だんだん小さくなって遂にはナズナ一輪ほどになる。ナズナ、誰が好きだったのだろう。そもそもナズナって、何だ? 花束になるような華美な花よりどこでも見つけられる可憐な花を好きと言っていた、誰か。ということは、ナズナって花なのか。いや、今はそんなことよりも!

 待ってくれ! 俺、そんなつもりじゃ! 確かに最初はそうだったけれど! 違うんだ!


 一閃が目を焦がし、地平線に広がる。その刹那俺の体を熱さと痛みと共に貫いた。

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