ヘブンズパス

第四夜 1



 誰かの視線を感じて瞼を持ち上げた。晴天の色が見える。

 あれ、俺。

 ぼんやりとした意識の中で、ナズナの瞳を捉えると、一気に意識が覚醒して飛び起きた。


 いろいろ確認するが何も変わったところはない。け、結界も異常はない!


「おはよ、ヨル」


 隣を見ると、くすくす笑ったナズナがいた。


「お、おはよ」


 俺の反応を見て楽しんでいるのが何だか嫌ではなかった。それよりも少し乱れた金髪の方が気になる。


「よく眠ってたね」

「そ、そっちはどうなんだよ」

「ヨルがぎゅうってしてくれたからよく眠れたよ」

「してない!」

「えーー、してたよ」

「してない!」

「でもシャワーは浴びてね」

「うっ……」


 何がおかしいのか、ナズナはまだ笑っている。俺は指摘されたとおり大人しくシャワーを浴びた。
 何だか昨日と全然変わってしまったが、嫌な気持ちが全くしない。それどころか何だか俺も楽しい。

 体は念入りに洗ったし、髪も洗った。服を着てみると、鏡には違う自分がいる気がした。

 髪を切ったからそう思うだけだ。きっとそうだ。

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