ヘブンズパス

第三夜 2



「……庭に石鹸が流れたら植物が嫌がるだろうから、室内でやらないか?」

「それもそうだね! 全然気づかなかった! ヨル優しいんだね」


 窓が開いていたら意味がないので、閉めておかなくては。気づかれないように。

 それにしても、昨夜のうちに聞いておいてよかった。昨日は獲物に気づかれないよう後手にまわってしまったが、こんなに簡単に対策できるなら、これは続けるべきだ。


 防音用の結界をはるという手もあるのだが、こいつが力をつけるまではまだまだ時間がかかりそうだ。翼の大きさでいったら、力のある天使は背中から腰まで覆えるくらいの大きさだから、もう少し時間がかかるだろう。さらに神になるまでといったら、見当がつかない。

 それまでに力は残しておかなくてはいけない。魔法で髪を整えないのも同じ理由だ。そうに違いない。


 教会全部の窓を閉めてしまってもよかったのだが、風が心地よいからもったいない気もした。結界もはってあるし、大丈夫だろう。

 俺が準備を終えて待っていると、ナズナが石鹸とはさみを持ってきた。


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