short novel

恋鎖反応







「お願いがあるの」



 2月確か1日だったかなそれともまだ1月だったかな、ある寒い日にえりかは突然私に言った。


 何だか切羽詰まった顔だったので、私はドキッとしたが、そのお願いとは何でもないようなことだった。



『バレンタインに岡本君にチョコレートを渡してほしい』



 どうやらえりかは、私に協力というか利用しようとしているようだった。


 もしかしたら、岡本君が昼休みの度図書室に行くことを知っていて、自分より図書委員の私が岡本君に渡しやすいと思っているのかもしれない。


 でも岡本君はあんなに本が好きなのになぜか本を借りないから、私は1回も話したことがないことまでは知らないだろう。



 私は何だか覚えてないけれど、いいよだかそんな返事をしたみたいで、気がついた時にはえりかはスキップするみたいに歩いている後姿を見ていた。



 何だかもやもやする気もしたけれど、別にたいしたことでもないからまあいいか。



 それより寒いから、早くこたつに入りたい。





3/12

prev/next



- ナノ -