short novel

恋鎖反応






 何で私がそのことについて知っているかといえば、私が委員の中でも断トツで一番めんどくさい図書委員だったりするから。



 そのめんどくさい理由のほとんどを占めるものは、毎日昼休みには図書館にいなければいけないってこと。


 休むと頭が固くて厳しいことで有名な司書の女の先生に大変なめに遭わされる。



 その先生は図書委員は昼休みに毎日全員図書室の貸し出しカウンターにいなければいけないなんてきまりを作った。


 それだけならまだマシだけれど、図書室に、話をするのはもちろん、眠るのも何もしないのも、読書か勉強以外のことをするのも厳禁なんてきまりまで作った。



 そんなわけで私は本が好きなわけでもないのに、というかむしろ嫌いなくらいなので、いつも空の様子を眺めながら、予言の勉強をしているなんて言い訳をして昼休みを過ごすのだった。




 岡本君がここに昼休みの度来ていることは、私と同じで本を全く読まないえりかは知らないだろう。


 話したところで、本嫌いのえりかが追い出されて司書の女の先生にひどいめに遭わされるだけだからもちろん言ってない。



 ……というか、めんどくさいから私はえりかが岡本君を好きなんて知らないふりをしているわけだし。




 何の本を読んでいるかは知らないが、今日も岡本君は熱心に本を読んでいた。


 いつも読んでいる本が同じにしか見えないのは、私がそんなに熱心に岡本君を観察していない証拠だろう。



 えりかの好きな人ということもあって、最近はよくあんなに本を読んでいられるなと呆れるくらいは見るようになったけれど。





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