short novel

恋鎖反応




 親友のえりかには最近好きな人ができたらしい。


 本人は私に気づかれないようにしているつもりだけれど、いつも一緒に学校から帰る帰り道で毎日その人の話をするから、嫌でも気づいてしまった。



 その人は特にかっこいいわけでも、背が高いわけでもなく、運動も勉強も特にできるわけではない。



 名前は確か……。


 何だったっけ?

 あぁ、確か岡本君だった。でも岡本何君だっけ……?




 もうじき1年一緒のクラスにいることになるけれど、私がその人の名前すらすぐに思い出せない。


 簡単に言っちゃえば、地味で目立たないタイプ。



 あっ! 1つだけ知っていることがあった!



 昼休みになると、決まって図書室の一番奥の窓際の席に座って、本を読んでいる。





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