short novel

言葉も人を選ぶものだ




「バーカ!」

「うっさい!」


 また私が何もないところで転ぶと、近くにいた男子の集団が笑いながら言った。





 だけれど、あの人だけは違う。





「バカね」



 言っている言葉は同じなのに、いつも言われている言葉なのに、それはつかみどころのない風のようだった。



 その言葉を言った女の子、転校生のみずきちゃんを私は未だに苦手だった。





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