北風と太陽 「じゃあ賭けをしよう」 「賭けるまでもないだろ」 聞く耳を持たない看守に気にせず、ノースウィンドは言った。 「俺の言うことが間違ってたら、ボヤージュ国とその王族をけなした罪を悔いて自害する」 ノースウィンドがそこまで言うのを聞いて、看守はやっと目の色を変えてノースウィンドを見つめた。 しかしどんなに看守が見つめみても、ノースウィンドの目の中にある強い意志は少しも揺るがなかった。 「バカバカしい。そんな賭けのれるか」 看守はその目にしばらく見とれていたが、しばらくすると何の態度も変えずに言った。 「じゃあ、約束でもいい。もしこの国が大陸の戦争に負けそうになったら、俺をここから出してくれ」 「約束だって、そんなことできない」 看守は吐き捨てるようにそう言うと、ノースウィンドの前から去った。 prev/next |