short novel

北風と太陽





 まさかシャインは、ノースウィンドにそんな態度を取られるとは思っていなかったようだ。


 シャインはさっきまでの明るい態度が嘘だったかのように眉間にしわを寄せて、ノースウィンドに詰め寄って言った。



「僕が愛想だけで、王女様に見初められたと思っているのか!?」


 ノースウィンドは怒り狂ったシャインを見ても、平然として言ってのけた。


「どちらにしろ、同じことだ」

「こいつっ!!」


 シャインがノースウィンドの言葉に呆然としていると、シャインの近くにいた護衛の大男がノースウィンドの襟首をつかんだ。


「それは、ボヤージュ国の王族をバカにしているのか!!」

「バカにしているわけではない。憐れんでるだけだ」


 ノースウィンドがそう言い放った瞬間、ノースウィンドは地面へ吹き飛ばされた。




「キャー―!!」


 ノースウィンドが立ち上がると、その片頬は赤くはれてた。



 それを見て、やっと周りの人々は何が起きたか気づいたようだ。


 シャインとノースウィンドの周りに集まっていた人々の円は散々に崩れた。



「……ほら、こんなもんじゃないか」


 誰もノースウィンドに殴りかかった護衛を止めない様子を見て、ノースウィンドがぽそりとつぶやいた。


「何ぶつぶつ言ってんだよ!!」


 護衛は叫びながら、立ち上がって周りを見ているノースウィンドに向かって第二撃を放った。





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