short novel

かわいらしく、ブルー







 入学して最初の課題は、”青”というものだった。

 先生曰く、青春の1番輝いている時期だから。きっと先生は、私たちの若々しく未熟で、しかしだからこそ新鮮な絵を見たかったのだろう。


 優美をはじめ、多くの人は澄んだ空の絵を描いた。別の人たちは深い海の絵を描いた。



 はじめに言い訳を述べておくならば、課題は”青”であって”青の色を使え”ではなかったはずだ。


 先生は私の絵を見て、真っ先に悩み事を聞いてきた。内心は精神科にでも行かせたかったのかもしれない。当時の私は先生に心を開くほど親しさを感じていなかったこともあったが、何よりも私には他人と関わるだけの余裕がなかった。

 ある数人の男子学生数人は私の絵におもしろがったが、それは興味があるというよりは、自分の日常を他人が変えるチャンスを見つけた気になっていただけだろう。





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