short novel

白タイツの呪い




 数十分後、私はドレスを着る機会なんて今までなかったから戸惑いながらもドレスを着て、髪飾りをつけて、最後の仕上げに悪戦苦闘していた。


 敵はぴっちりしていてあまり伸びなくて、私はなかなかはけないのだ。



 そんなところに、もう着替えを終えた姉さんが私にドレスを見せに来た。私がこんなにも苦しんでいるのに、敵にあっさり勝って靴までしっかりはけたらしい。


「姉さん、これはけないんだけど」

「まったく、不器用なんだから。それにしてもこんないいドレスを買ってくれるなんて、おばさまったらよっぽど私たちの将来が心配なのね」


 戦いを一時休戦して顔を上げてみると、姉さんのドレスは大人っぽい淡いグリーンで、普段子供っぽくてしょうがない姉さんが大人に見えた。姉さんの緑の目ともよく合っていてとっても綺麗だ。



「しかし、白タイツってあれね。足がとっても太く見えるのね。窮屈だし。この前話した王女様と王子様のように、白タイツの似合う人なんているのかしら……」


 確かに姉さんの言うとおり、華奢な姉さんの足でさえも、白タイツは汚らしく演出していた。


「そんな話あったけ?」


 私は白タイツにはくのに必死で、適当に答えた。私ももう少しで、やっとはけそうだ。不意に頭の中に継承のような甲高い音が聞こえた気がして、私は手を止めた。





 何か胸騒ぎがして横を見ると、姉さんが首を抑えて苦しそうにしているのが目に入った。


「姉さん、どうしたの!?」


 突然、何が起きたというの!? 何でさっきまであんなに元気だった姉さんが、こんな苦しそうなのだろう。


「大丈夫、姉さん!? 待って、今お医者様を……うっっ!!」


 急に私も喉を絞められているような気がして喉を押さえた。何、これ、苦しい。これってもしかして……。




 だんだんと意識が遠のいていく中、私は数日前に姉さんに聞いた白タイツの呪いの話を思い出していた。





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