short novel

かわいらしく、ブルー




「例えば、モノクロ映画を見ていると同じ色を思い浮かべる人だと思うの」


 レポート3つに追われ、来週が卒論発表会という中、テスト勉強をしようと言ってきたので、優美の家に行った。

 いざ勉強をはじめようと教科書とノートを出そうとしたら、優美はのんびりとみかんをこたつのかごから出しながら言った。


 そういえば、優美はもうテストなんてないのかもしれない。


 優美とは、大学で出会ったからかれこれもう4年の付き合いになる。1年生の時は大学生活なんて長いと思っていたけれど……。最後のテストまで数日となった今となって振り返ってみれば、どうやら短いものだったらしい。


「いきなりどうしたの?」


 優美の変わらないマイペースな直球に苦笑する。

 何を言い出すか分からない(または何を言ってるか分からない)ということに、何人かは付き合いきれないと思っている人もいる。

 だけれど、私は優美のこういうところが好きだった。自分も好きなように話していい気がするから。


「運命の人について考えてたの」

「美術的に?」

「そう。美大生でいられるのもあと数日だから」



 確かに、それはレポートやら卒論やらテストの他に卒業までに片付けたいものかもしれない。

 あと数ヶ月経てば、優美はイラストレーターとして出版社で働く。教員採用試験の受かっていない私とは違い、もう優美はあと数日で多忙な新しい日々がはじまるのだから。




 

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