二万年後の未来へ それから一万年後、彼女が一日一滴欠かさず降らせた涙は、砂漠に大きなオアシスを作っていた。 「せっかくだから、川を作ろうと思うの。どう思う?」 背中に大きな手のひらを感じて、彼女はその相手の胸に顔を埋めながら問う。 「二万年ぶりなんだから、第一声はもっとまともなことだろう」 「まともなことよ。一万年も湖を作っていた者からしたらね」 「そういう意味じゃなくて……」 しっかりと自分の背に腕をまわされていることから、彼はそこまで不満に思っていないようだ。 「だって、生死の境目のたった一度の告白に、二万年後に答えろなんて、ちょっと特殊すぎるんじゃない?」 「そううだけれど……」 今度はずっともごもごにしか聞こえなかった内容が、彼女のすぐ耳の近くで囁かれた。 二万年後の未来へ 何が未来を救うことができるのだろう fin. prev/next |