short novel

3番目に好きな人




「ということで、あんたは1番だった!」

 旧3番目に好きな人の隣を今日もいつも通り歩いている。

「何が? お前王子が1番好きじゃん」

「何で言ってないのに分かるの!?」

「そのくらい見てれば分かる」


 いつも通りいきなり爆弾発言を投下されてダメージを受ける。でも今日は、それだけでは終わらせない。


「あんたが1番あたしのこと見てるの」

「……それ、ストーカーみたいなんだけれど」


 少し間が開いた。相手は動揺している。


「自分のことストーカーって認めるんだ!」

「違う!」


 暗くて分からないけれど、顔が赤いことがわかるのは、あたしっだってだてに腐れ縁で繋がってるわけじゃない。


「ストーカーって意味じゃなくて、1番あたしのこと心配してくれてありがとうって伝えたかったの」

「そりゃあ、お前すぐ転ぶからな」

「そういう意味だったの?」

「それしかないだろ」

「そんなに転ばないって!」

「どうだかなーー」



 あたしが彼の眼差しの本当の意味を知るのは、もう少し後のことだった。





3番目に好きな人
誰もが誰もにとって特別




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