short novel

3番目に好きな人




「でねーー、また昨日あいつと言い合ってたの!」

「あいかわらず仲良いねぇ」

「あたしたちは仲良くない!」


 今日も2番目に好きな親友とお茶をしている。


「えーーっ、仲良しでしょ? もう他の人が間にい入れないって感じ」

「違う違う! だいたい、あたしに好きな人いるの知ってるでしょ?」


 私の言葉に親友は答える前にコーヒーを1口。彼女にとって甘すぎる会話には、ブラックがちょうどいいのかもしれない。


「そうだけれどさ、他にないくらいお似合いだよ」

「えーーっ、お似合いになるなら王子とがいいよ」

「それは、お姫様になるしかないね」

「じゃあ、告白の時はフリフリの服?」

「いいねぇー、鳥の羽がついた扇子持って『あなたごときには私はもったいなくってよ』でしょ」

「それふってるから!」

「あっ、本当だ!」


 隣のお客さんに何があったか見られるくらい2人で笑い転げた。恋の話はキラキラしているらしいけれど、それだけではないとあたしは思う。

 今日もあたしは彼女の魔法にかかっている。


 好きなのは2番目だけれど、あたしのことを理解してくれるのは1番だ。



「あれ?」

「どうしたの?」


 そういえば転ぶタイミング、つまずきやすい場所、何もあたしは誰かに言ったことはなかったはずだ。


「あいつに言わなくちゃ」

「何を?」

「あたし、気づいたの」

「やっと? 3番目に好きな人が1番好きな人だって?」

「違うって!」

「またまた照れちゃってー!」

「あいつは1番目に……」


 あたしが言うと、親友は笑った。


「王子レベル相手なら2番目になっても良かったと思ったんだけれどなーー。そうだね、そういう意味ならあいつが一番だ」


 あたしを1番理解してくれる人は、あたしが1番ほしい言葉を言ってくれる。だからあたしは、1番言いたいことを言えるんだ。


 いつか、お礼を言えたらいいなと頭の片隅で思った。




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