short novel

3番目に好きな人




「だいたい、何であんたはあたしが転ぶ前に分かるのよ!」

「えっ、お前転ぶ前に『私これから転びます』って言うんだぜ」

「えっ、そうなの!? そんなはず……って嘘でしょ!」

「さあ、どうかな」

「絶対、嘘! あたしはそんなこと言わない! 言ったら転ばないはず!」

「そこで転ぶのがお前だろ」


 言い合いをしながらも、ちゃっかりあたしの家まで送り届けてくれる。家は逆方向のくせに。

 何で幼馴染ぶって送ってくれるのかな。知り合ったのは進学してからのくせに、何かといって優しくしてくれる。


 こんなんだから、意地悪なんだか優しいんだか分からなくなる。そして、嫌いなんだか好きなんだかも分からない。





2/5

prev/next



- ナノ -