short novel

憧憬




「何で、私の名前……」

「よく知っているよ。今一番、僕らが探している魔法に近い人物であると教わっているからね」

「その魔法って……」

「君もずっと探しているじゃないか。人を幸せにする魔法だよ」


 初めて自分以外の口から、アンネが探している魔法を聞いた。というのも、今では架空のものであるとされているもので、誰も探そうとしていないからである。


「誰が探しているんですか?」

「君も会ったことあるんじゃないかな?僕らの師、サリア先生に」

「そのサリアさんって、金髪のロングヘアですか?」

「そうだけれど……」


 アンネは自分が唯一覚えている特徴と一致して、幼い頃会った女性魔道士ではないかと心を躍らせる。


「会いたいです!」


 青年はその様子を見て、微笑んだ。


「では、参りましょうか」





4/9

prev/next



- ナノ -