憧憬 「何で、私の名前……」 「よく知っているよ。今一番、僕らが探している魔法に近い人物であると教わっているからね」 「その魔法って……」 「君もずっと探しているじゃないか。人を幸せにする魔法だよ」 初めて自分以外の口から、アンネが探している魔法を聞いた。というのも、今では架空のものであるとされているもので、誰も探そうとしていないからである。 「誰が探しているんですか?」 「君も会ったことあるんじゃないかな?僕らの師、サリア先生に」 「そのサリアさんって、金髪のロングヘアですか?」 「そうだけれど……」 アンネは自分が唯一覚えている特徴と一致して、幼い頃会った女性魔道士ではないかと心を躍らせる。 「会いたいです!」 青年はその様子を見て、微笑んだ。 「では、参りましょうか」 prev/next |