short novel

白タイツの呪い






「昔々、あるところにそれは美しい白タイツが似合う王女様がいました。しかし彼女はあまりに美しいので、海を越えた遥か遠い異国からもたくさんの求婚者が来ました。

 あまりにも求婚者が多かったので、王女様は自分と同じく白タイツの似合う王子様と結婚することを決めました。

 そして、王女様は見事に白タイツの似合う王子をたった一人見つけて婚約しました」



 ……ここまではとっても幸せそうな話に聞こえる。何が笑っていられないんだろう……。





「ところが、その王子様は王女様と敵対していた国の王子だったのです」

「えぇ!!」


 あまりの展開に、私は思わず大声を上げてしまった。


「そんなの、婚約する前に分かるでしょ?」

「それが、その王子隠し子だったから気づかれなかったらしいわよ」

「へぇ……」


 ……だんだんこの話も、今まで聞いてきた姉さんの噂話と同様に嘘っぽくなってきたが、私は黙って聞くことにした。





「その後、王女様の国の王様にばれて、王子はもちろん姫もスパイとしてみなされ、処刑されました」


 ……やっとシリアスになってきた。私は背中にゾクゾクしたものを感じた。



「その時2人とも白タイツをはいていたんだけど、その白タイツにはどっちも血のあとが残らなかったんだってさ」

「えぇ!! 何で!?」

「馬鹿ね。何でか分からないから怖いんじゃない」


 私が驚いて聞くと、珍しく姉さんが大人っぽく言い返して、話を続けた。



「今でもその白タイツは必ず2つセットで現れて、その白タイツをはくと、2人は絞首刑で殺されたから、急に首がいきなり絞められたように息が苦しくなって死んじゃうんだってさ」

「怖っっ!! でもそれ嘘っぽいよ」


 私はケラケラ笑いながら言った。





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