short novel

Mr.ビッグ・バン




「離れてろ」

「冗談だろ? 俺に石か何か投げさせてからにしろよ」


 敵は5体。体は何だっけ、アノマロンカステラじゃなくて、アノマロカリスだ!それを4本足の2足歩行にした感じ。

 今までの平均より少し少ない数だけれど、俺がいる限り、こいつの力は好き勝手使わせない!


「啓太、大丈夫だから」


 さっきのヘラヘラ笑いとは違う笑みで、郷田は笑う。その度に、60億人からなぜこいつが選ばれたのか思い知らされる。


 郷田は両手を合わせ、少しずつ離していく。そこには金色の光の粒子が様々に色を変え、郷田の両手の間を旋回する。


 こいつが、この力を悪用しないと一番近くにいる俺が言い切らなければ、一体誰が、言ってくれるのだろう。

 逆に、俺以外なら、何人そう言えるのだろうか?俺ら以外の約59億9999万9997人に。


 光の粒子が膨張を始める。その膨張が最大限になった時、彼はその光の固まりを敵に向かって放り投げた。


 俺は光でぼやけていく親友を必死に探しながら、彼が起こすビッグバンを見ていた。





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