short novel

VS バレンタイン




 2月14日。日本では女子にとってのイベントだとされているが、これは大きく間違っている!


「3組の加藤さ、絶対俺に気があると思うんだよね。あと5組の足立と6組の砂沼!だから3個は確実かなー」

「えっ、砂沼?あれはお前に気があるんじゃなくて、こいつだから!」


 そう言ってある男子が、クラス一番のイケメンを指す。


「そうそう。君たち、いい加減にしたまえ。僕に敵うはずがないだろう」


 そう言って、かっこうつけて髪をかき上げるその男子に女子はどこに魅力を感じるのだろう。俺以上に「うざい」だの「きもい」だの言うくせに、こいつは平気なのか?


「僕は20個は確定だからさー」

「お返しで苦しめ!」

「ふっ、負け犬の遠吠えにしか聞こえない」

「こいつ!」



 そんな男子を見つめながら、俺は夕日色に染まっていた。





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