short novel

ハッピークリスマス




「ハッピークリスマス!!」


 クラッカーの音と一緒にみんなの声が聞こえた。


「えっ?何?」


 『ハッピークリスマス』がよく分からないままのわたしの頭に帽子みたいな何かが乗って、わたしは背中を押された。





 中に入ってみると、私の名前と一緒に『お誕生日おめでとう』という大きな文字が目に入った。


「えっ!?」


 まだ何をされているのかよく分からないわたしの耳に、歌ってるみんなの声が聞こえた。



「メリーバースディ、トゥーユー!メリーバースディ、トゥーユー!メリーバースディアンド、ハッピークリスマス!メリーバースディ、トゥーユー!おめでとう!!」



 たくさんの拍手の音が聞こえるなか、やっとわたしは何が起こっているのか分かった。





「もしかして、わたしの誕生日を祝ってくれてるの?」

「もちろん!」


 おそるおそるわたしが聞くと、いろんな高さの声で同じ答えが聞こえた。



「去年はクリスマスが誕生日だって知らなかったから、祝ってあげられなかったじゃん!何で言ってくれなかったの?」

「ということで、今年からは忘れないように祝いたいの!」

「だから今年からクリスマスのあいさつは『ハッピークリスマス』だよ!」

「あと誕生日のお祝いは『メリーバースディ』!」

「もう今年からは『誕生日プレゼントちょうだい』って言っていいからね!」

「ってか言ってくれないと困る!」


 いろんな方からいろんな声が聞こえてよく話が分からなかったけれど、今年からは『もう1つプレゼントをちょうだい』って言ってもいいんだ。嬉しくて涙が出てきた。


「ほら、主役も来たしパーティをはじめよう!」


 それからわたしたちのクリスマスのあいさつは、『ハッピークリスマス』になった。



ハッピークリスマス
かけがえのないあなたにメリーバースディ




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