short novel

秘密越しの結末




「謝っているってことは、自分が悪いことを認めてるからなんだよね?」


 それ以上の言葉を聞く前に、私は聞いた。本当だろうが嘘だろうが、私には疑うことしかできないから彼女の返事は待たなかった。


「口先だけの言葉なんて聞きたくないから言わなくていいよ。あなたが自分の私利私欲のために私の大切な人たちにひどいことをする限り、私はあなたのことを許さないから」


 彼女は驚いたような顔をして、私を見ていた。



 彼女の台本では私はだまされて、もしくは私は譲って、私たちは今まで通り仲良なるはずだったんだろうか。


 あるいは私を怒りで自分を抑えられなくさせて、私を悪者にすることだったんだろうか。



 それは分からなかったけれど、私は彼女がつくった結末を破り捨てられたのだろう。



 それだけで良かった。彼女がどう思ってるにしても、私はしばらく変わることはできないのだろうから。彼女のこれまでやったことを許せないのもあったけれど……。




 あの人はもう、私が好きだったころには戻らないのだから。



 女の勘が告げていた。



「待って!」


 そう思って立ち上がろうとした私の腕に、彼女の声と共にやわらかなしかしちくりとした感覚がした。


「触らないで!」


 傷ついたような彼女に、友達になりたがっていた時の私のために言った。



「もしも本当に、あなたが私と友達になりたいと思うなら、きっとまた友達になれるよ」



 きっと今のままの私たちじゃ、そんな日は永遠に来ないけれど。まだみえない未来は、何かの影をつくった。




 立ち去る前に見たグラスの世界は、少し曇っていたけれど確かに現実をそのまま映していた。



秘密越しの結末
どの感覚を使っても未来はみえない




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