short novel

秘密越しの結末







「話、聞いてる?」


 彼女がやっと聞き手がいることに気づいたようなので、私は顔を上げた。



「私が避けてるなら、どうしてだと思うの?」


 努めてやわらかく、でも警戒されないように聞いた。


「分からないから話を聞こうと思ったんだけれど……」


 外からこの言葉だけを聞いたら、私がまるで悪者のように聞こえる言い方をした。


 さっきまで話してた言い訳は何だったのか。分かってないのに、あんなにべらべらと言い訳していたと言うつもりなのか。


 今までこうやって、人にこびてだまして振り回してきたんだろう。


 友達だと思って接しようとした私たちやたくさんの人にまで、さらにはこんな最低の奴をそれでも大切にしていたあの人にまで、こんな態度を平気でとってきたのを思い出して吐き気がした。



「そんなの予想でいいよ」


 それでも私は目的を達成させるために、彼女のペースに合わせて笑顔に見えるように口元をあげた。





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