short novel

現実という名の宇宙で



side 4



 彼女が私のことで悩んでいるのは知っていた。正確にいえば私がらみといった方が正しいけれど。


 彼女は優しいから私とも何も変わらず接していたけれど、素直な性格でもあるから隠しきれなかった。私もそうだけれど周りの人はみんな気づいているろう。



 元から私たちの性格が合わないのは分かっていた。最初は合わないだけだと思っていたけれど、それだけではとても埋められない溝があると思い知らされた。



 彼女は染まらないもので、私は染めるものなのだ。


 彼女は何にも染まることはなく、染めようとするものをはねつける。だから私は彼女を染めようとしても染めることはできない。


 もし彼女が私を染めようとしても、私は染まらない。私は染めるものであって染められるものではないから。


 たとえば絵具だったら白と黒を混ぜたら灰色になるけれど、私たちは混ざりあって別の色になることはない。



 だからいつか、こんな日がくることは分かっていた。そして気づいてしまえば、近づくことさえもできなくなってしまう。



 それでも私たちが同じ世界に存在するのは、同じ世界に存在しているのは、どちらもこんな暗い夜でも星のように輝いているからなんだろう。


 だからたとえ混ざりあうことはなくても、またすぐに仲良くなれても何も知らなかったようには仲良くできないだろう。それでも全然悲しくなんてない。


 私は彼女が存在していることそれだけでいい。彼女もきっとそうだろう。



あなたは星の数もいない
違うからこそかけがえのないものなんだろう




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