short novel

現実という名の宇宙で




side 2



 彼女は悩んでいた。


 あきらめなくちゃいけないという気持ちと、それでもあきらめたくないって気持ちでもがいていた。


 友達としてずっとそばにいる私には、そのことが痛いくらい伝わってくる。


 それでも、彼女は前を向いている。前に進めなくたって、逃げ出さないことを選んでいる。



 彼女はいつになったら、そんな自分の姿に気づくのだろう。



 彼女がそのことに気づくきっかけになれるのならば、私は友達としてなんだってしよう。



 そんなこと思っていたって、こんな風に話を聞くことしかできないけれど。彼女は私を巻き込まないようにしているから。



「私にできることなんて何もないけれど」


 そんな後ろめたさに似た気持ちが、またこらえきれずに口から出てきてしまった。


「そんなことないよ!」


 どんな辛い状況にいても、彼女は決して優しさを忘れたりしない。そんな彼女を見ていると思わずほほえみがこぼれてしまう。



 彼女はまぶしい。だからこそ、周りのものが陰がかかっているように見えてしまうのだろう。



あなたは星の数もいない
だからこそまぶしい




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