Favorite 「B、B……。『But』」 「なんで『But』?」 健斗は私が時間をかけて考えた単語に、光の速さで文句を言ってくる。 「よく『でも』って言うでしょ?」 「でもさ……」 「ほら、また言った!」 私が健斗の言葉を待たずに言うと、健斗はさらに不満そうに言った。 「『Brilliant』とか言えないの?」 「『Brilliant』!? 輝かしいとかそういう意味なのに、何で健斗なんかに……」 何だか健斗が、らしくもなく寂しそうな顔をするので、私は何も言えなくなってしまった。 「じゃあ『Cute』」 「えっ!?」 私がびっくりして健斗を見つめていると、健斗は不思議そうな顔をした。 「別に変じゃないだろ?お前可愛いし」 「なっ……。ほら、次あたし!」 今日の健斗は、変だ。いや、変なのはいつもなんだけれど、今日はいつもとは比べ物にならないくらい変! とりあえず慌てて話をそらしたものの、『D』ではじまる言葉が思いつかない。 「D、D……」 「あるじゃん!俺がいつも美由に使う言葉!アルファベット4文字の!」 健斗は目をキラキラさせて言うので、あたしは慌てて目をそらした。 prev/next |