short novel

L is L




「でも分かるだろ?ここの食糧はもうじき底をつく。……いつまでもこのままではいられない」


 それは私も気づいていたことだけれど、そのことを告げる彼の声はとても冷静だった。


 私を落ち着かせるためにわざと冷静にふるまっているのかもしれないけれど、そのことは余計私を不安にさせた。



「だからって、生きることをあきらめていいっていう理由にはならないわ!残りの食糧を持って逃げることもできるでしょ?」

「……不可能だ。今やここは焼け野原になってしまっているからすぐ見つかってしまうだろう。彼らが俺たちを逃がしてくれるはずがない」


 そう答えるルーサの声はさっきよりもさらに冷静で、冷静を通り越して冷えきっていた。



「じゃあ、結婚を前提に結婚はしないわ」


 私は泣き顔を見られるのはあきらめて、ルーサを突き放した。


「その代わり、結婚を前提に生きのびてくれるなら、生きのびられた時に結婚するわ」


 ルーサはしばらく何か言う前に、いきなり大笑いしはじめた。



「やっぱり、大好きな人と結婚するのは大変だね」


 しばらく大笑いして落ち着くと、ルーサは目を星よりもキラキラさせて言った。



「まとめると、生きのびる前提で結婚してくれるってことになるけれど、それなら結婚してくれるの?」


 ルーサは私の涙をそっとぬぐいながら聞いた。


「ダメよ!結婚することを前提に生きのびてくれないとダメ!」


 私が彼の優しさから逃れようとすると、彼は私をふわりと抱きしめた。


「分かったよ。でもそうすると、俺と結婚してもいいってことになるんだけれど、それはいいの?」

「……うん」



 私は恥ずかしくなって、なるべくルーサの腕の中でなるべく小さく縮こまる。



「フィオと結婚したいから、頑張って逃げなきゃね。明日の夜に向けて早速準備しないと」



『でももうしばらくは、このままでいさせて』



 ルーサのその言葉の答えが伝わるように、私はゆっくり目を閉じた。





L is L
Love is Live,Live is Love



fin.

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