short novel

Iris






 それから、私と彩花が前より仲良くなったことはいうまでもない。



「ごめんね!まさか、香織が仲川さんとあんなに仲がいいとは思ってなかったんだ」


「別にいいって」


 次の日の朝、教室に入るなりクラスのみんなが集まってきて、口々に訳を話してくれた。

 彩花から本当のことは聞いていたし、もう気にしてないから別にいいんだけれど…


「それにしても、香織と仲川さんって本当に正反対だよなー。香織が太陽だったら、仲川さんは今日みたいな天気だから」

「純平!仲川さんに失礼でしょ!」


 クラスメイトの女子の叱責が飛ぶ中、そっと窓から外を見てみると、梅雨らしいどんよりとした天気だった。


 それを見て、私は思わず吹き出した。


「何がおかしいんだよ、香織」

「純平、本当は逆なんだよ」

「…はっ?」

「私が今日みたいな天気で、彩花が太陽みたいなの」 

「…よく分からねぇんだけど」

「じゃあさ、じゃあさ。もしかしたら、二人あわせてちょうどいいのかもね」

 さっき純平をどなりつけていた女子が言う。

「そうかも!ちょうど、虹が出てきれいそうだしな」 


 私は純平の言葉に、危うく息を止めかけた。


「…香織?」

「…何でもない」


 そっか。虹か。私たちは見た目や中身は違っていても、違うからこそより強く、虹みたいな絆で繋がっているのかもしれない。


「…それにしても、仲川さんがあんな賭けを持ち出した時は驚いたよ。仲川さんって暗いだけの人だと思ってたけど、あんなさっぱりしたところもあるんだね。誤解してて悪かったな…」

「だよな!香織が言ったように仲川さんは太陽みたいなのかもな。お前と二人でダブル太陽じゃん!うわあー、これからの季節いてほしくねぇー!」

「こら、純平!」



 私には、周りの会話は全く聞こえてなかった。


 彩花に私たちは虹みたいと言われたのを、早く伝えたかったから。


 いや。



 私はふとあることに気づいた。





 彩花こそが虹をかける、女神なのかもしれない。





Iris

とある女の子達の友情の物語





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