short novel

再会は無記録








「こういう時は何て言うんだったけ?……そうだ、『久しぶり』」



 ずっと僕に会いたがってたくせに、僕の混乱には無頓着のようで、影はゆっくりと近づいてきた。


「来るな!!」


 僕のその言葉に、影は歩みを止めた。


「だいたい、僕はお前のことなんか知らない!」


 パニックになりそうな自分を抑えながら僕が叫ぶと、影は立ち止った。





4/6

prev/next



- ナノ -