short novel

旧校舎とあの子




「こんなのわざわざ作ったて、アタシはここから出ていかないよ」


 私の予想通り、相手は旧校舎からの立ち退き宣誓書に向かってそんな事を言った。


「でも、ここはもうすぐ取り壊されるのよ。いつまでもここにいることはできないわ」


 それでも、私は説得を試みる。もちろん、委員長として。それ以外に他ならない



「いいじゃん。しばらく旧校舎を残していたって」


 私が委員長としてしか言っていないからかもしれないけれど、呆れた。何の覚悟も力もないくせに、口だけは達者なようだ。


 私は怒りにまかせてそんなことを言いそうになったが、その前に相手が口を開いた。





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