short novel

Iris





 仲川彩花。



 私が彼女と会ったのは、ちょうどこんな天気の日だった。





「香織、本なんか読むのー?なんか地味。似合わないって」

 私は昔から本を読むのが大好きだった。天気が悪い時は決まって教室で静かに本を広げている。

 しかし見た目が派手だからか、周りの人たちにはいつも決まって、らしくないだの、似合わないだのと言われる。


 その日はそう言われるのが嫌だったから、そんなことを言われる前に用事があると言って、1人で静かに本を読める場所を探していた。




「ここ、いい!」



 私が見つけたのは、埃がつもったある部屋だった。こんなに埃がつもっていれば、誰も来ないだろう。



 しかし私はそこで、ある奇妙なことに気づく。




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