short novel

赤い糸





 電話とかで聞くのも考えてけれど……。


 やっぱり直接聞きたかった。



 相原君が考えてくれた、今もまだよく分からない共同戦線があるから土日にわざわざ呼び出したり、急いで聞く必要もなくなった。



 だけれど、それでも、私は答えが早く知りたかった。



 もし付き合えるなら、こそこそしてるのなんて他に瀬戸君を好きな人に対して失礼だとも思うし、上手くいかないなら私を守ろうとしている相原君に失礼だと思った。



 相原君には反対されるだろうけれど、私は私のやり方で、もう決着をつけたかった。



 これは勇気って呼ぶのかな。それとも……。



 とにかく、そんなよく分からない感情のまま、私は昨日の夜サッカー部の昼休みになったら教室に来てと電話した。



 瀬戸君に電話をかけた時も、サッカー部が昼休みになるのを教室で待っている今も、なぜかあんまり緊張しなかった。


 ――ガラガラ。


 いつも通りの音を立てて、ドアが開いた。でも、私には全然違う音に聞こえた。



 それでも、やっぱり緊張していなかった。


 目の前にはずっと好きな人がいるのに、いつも遠くで見ている青のユニホーム姿をやっと近くで見られて、それが思ってた以上に爽やかでかっこいいのにおかしい。



「話があるんだけれど……」





 こう切り出したのは覚えているけれど、ここから先のことはあいまいだから、きっと緊張しすぎていただけなんだろう。





7/10

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