short novel

チャペルの見える窓





 人通りの少ない、ある一部の人間に『事務所』と言われる場所での出来事だった。



「何か手がかりはないのか!」



 お前が叫んでも何も変わらねぇよ。


 ボスだというのに、頭の中ではそんなことを考えているジョウもイライラしているのは同じだった。


 さっき怒鳴り声と共に机をたたいた中年の男とは異なって、ジョウは銀の髪と目をもつきれいな顔立ちのすらりとした二十代半ばの男だ。


 ジョウと結婚を希望する相手は数えたらきりがないほどいるのだが、当の本人はこんな仕事をしている以上、美しい女性であればあるほど断らなければいけないのだった。



「関係ないですよ、ボス。相手がどこにいようとも俺がちゃんと片付けておきますから」



 ジョウはにこやかにそう言いながら、腰にさした銃を見せた。





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