short novel

嫌いだけれど





「お風呂空いたよ」


 しばらくすると、3つ上のお姉ちゃんの声が聞こえた。


「……うん」


 あまりにも悩みすぎて、お姉ちゃんが来ていたことに気づかなかった。姉はため息をついて言った。


 お姉ちゃんはお風呂から出てきたばかりみたいで、首にオレンジ色のタオルをかけていた。髪はまだ濡れてお湯だかぬるま湯だか水で固まっているし、体からは湯気が出ている。


「何かあったでしょ」

「何でもないよ」


 私はなるべくなんでもなさそうに言ったけれど、お姉ちゃんはまた大きくため息をついただけだった。



「……春奈ちゃんのことでしょ?」



 私が何も言えずにいると、お姉ちゃんは親友の名前を口に出した。


「何で、分かるの!!!」


 あっ、いけない。反射的に言っちゃった……。



 私と春奈が昔から仲いいのを知っているお姉ちゃんは別にお何も驚かなかったみたいで、ニヤッと笑って女王様みたいにイスに座ってふざけて言った。



「さあ、全部分かってるんだから言いなさい」





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