short novel

嫌いだけれど





 携帯を開くことさえゆううつ。家に来てまでその問題と向き合わなくちゃいけないなんて嫌だから。



 鞄を置いて、着替えることもしないで制服のままベッドに体を投げ出した。


 お母さんが見たら、制服がしわになるからとかなんとか言いそうだけれど、今の私はそんなこと気にしている余裕がない。




 数日前、仲良しの昔からの親友が私の嫌いな女の子と仲良くなり始めた。


 その私の嫌いな女の子はすぐに人の悪口を言う子で、同じクラスになって数週間で、できれば縁がないでいてほしいと思うほどの子だった。



 親友は穏やかな性格だから、ただ適当にあいづちをうっているだけなのかもしれない。


 それとも、悪く思われないように悪口を否定したりして上手くやっているのかもしれない。……私はショックでいつも聞けないから分からないけれど。



 ……どっちにしろ、私がすぐに悪口を言う人が嫌いなことに変わりはない。



 最近は宿題が終わってないとか理由をつけて休み時間も放課後も一人でいるようにしている。




 だけれど、親友は私とその嫌いな女の子を仲良くさせたいみたいで、いっつも3人で行動しようとする。



 正直、あんな子と仲良くしないでと言いたい。



 だけれど、言ってしまったら親友とはもう仲良くすることは無理かもしれない。




 とすると、残された道はただ1つ。





 私がその嫌いな女の子となんとか上手くやるしかない。




 昨日まではそう思っていただけだった。





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