short novel

嫌いだけれど




「はぁーー」


 私はただいまを言う前に、家族に聞こえないように、だけれど大きなため息をついた。


「お帰り。ご飯は……」

「後でいい」


 そんな私に対しても、いつも通りの口調で聞いてくるお母さんにあいまいに答えて、私は自分の部屋に向かう。


「お帰りーー」


 まだ8歳の妹の子供っぽい声にそう言われて、ようやく私は少し笑うことができた。




 それでも、頭の中はずっと同じことでいっぱい。



 どうすればいいんだろう……。





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