short novel

猫と昼下がり





 大学の春休みって長い……。



 私に4月まで何をしろというのだろう。



 そんなことを誰かが答えてくれるのを期待してるわけではないけれど、心の中でつぶやく。



 何だか、最近、何もかもがめんどう。



 五月じゃないけれど五月病ってやつなのかもしれない。何だかいろいろなことに慣れて、慣れすぎて……。あきてきた。



 バイトとか新しくやりたいこともないわけじゃないけれど……。



 社会勉強とかも今しかできないんだろうけれど、他にもっとやらなければいけないことがあるような気がするのだ。大人になりかけの今は、大人のマネなんかしてちゃいけないような気がするんだ。




 偉そうなことを言っておきながら、何も思いつけない自分がいるのにもあきあきしていた。




 「自分が嫌い」……。


 というのとはまた違う。でも何だかそれと似た気だるさはある。




 部屋のカーペットで寝返りをうつ。三寒四温の今日は三の方らしくて、外に出かける気も失せていた。



「何だかな……」


 口に出た。独り言なんてしっかりした枠組みもないものだから、それは何事もなかったかのように空気にとけて消えた。


 そして酸素と一緒に私の体の中へ戻ってきた。



 その『声』が聞こえたのは、そんな時だった。





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