short novel

恋鎖反応




 2月11日。



 あまりよく眠れていないのになぜかテンションの高い自分をさすがにおかしいと思って、夜えりかに相談してみた。



『それ、恋じゃない?』



 私がもやもや悩んでいたことに、えりかはあっさりと答えた。


 まさかこんな私に、そんな日が訪れるとは思ってもいなかったのでしばらく何も言えなかった。



 だけれど聞いてすぐの時は驚いても、何だか納得してしまう自分がいるのにも気がついた。


「ねぇ、話があるんだけれど」



 そうなると、私が言うべきことは1つしかない。





「やっぱり、岡本君にはバレンタインにチョコ渡せないや」

『えっ!?何で!?』


 びっくりしているえりかに、私は一言だけ言って電話を切った。





「だって、人を好きになることに理由なんてないから」



 明日からチョコレート作りの練習をしなくちゃ!


 料理が苦手でめったにやらない私には相当大変だろうから。



 えりかとの電話を切って最初に思ってのはそんなことだった。


 お菓子を作るのが苦手な私は、バレンタインのチョコレート作りを不安に感じるはずなのに、私って変だ。


 親友とのこれからの関係とか、実際に岡本君に渡すことを考えると怖くさえもなるはずなのに、なぜか心はこれまでにないくらいうきうきしていた。





恋鎖反応
甘くそして、辛く



fin.

11/12

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