不思議の国のありさ

不思議の国のクリスマス 1





「ねぇ、アリサ!!」



 私が双子の男の子のサンとヨウが作ってくれたマフィンを食べながらぼーっとしていると、サンが小声で話しかけてきた。


「何?」


 明るい双子の、しかもその双子の片割れのヨウよりも活発な、サンが小声で話しかけてくるなんて珍しい。



 私は何かあるとは思いつつも、何だかわからないまま、小声で聞き返した。




「もう少しでクリスマスだね」


「クリスマス!?」



 私は七夕祭り、ハロウィンと嫌な思い出がよみがえった。どちらも楽しかったが、私が知っているものとはだいぶ間違ったものだった。



 きっと、今サンが言っているクリスマスも私が知っているものとは違うだろう。



「えっ、アリサ知らないの?」

「……うん」


 私はこれまでのようにならないためにも、不思議の国のクリスマスがどういうものか知っておきたくて、嘘をつくような気分で本当のことを言った。


「クリスマスを知らないなんて……。いい? クリスマスっていうのは……」



「何を小声で話しているんだい?」



 サンがクリスマスとは何かをわたしに教えようとしてくれる前に、ロイドが後ろから話しかけてきた。





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