不思議の国のありさ

不思議の国のハロウィン 2





 ……やっぱり。また間違ったイベントをやるつもりなんだな。


 私は何か言いたいかったが、あまりに双子が楽しそうなので、こ何か言ってしまうのをこらえるためにうつむいた。



「早く、早く!!」


 双子が私をキラキラした目で見つめる。私はそれに負けて帽子をかぶろうとしたが、その前に、この帽子をかぶっていない双子を見て、聞いてみた。


「何で、双子はこの帽子かぶってないの?」

「双子には別の仕事があるからね」


 また不思議そうな顔をして、ハットが言う。双子をがっかりさせたくないので、私はしぶしぶ帽子をかぶった。


「さて、でははじめよう!!フタゴケンシュタイン、準備をするぞ!!」


 双子兼シュタイン!?  何、それ!? 今日は、シュタインもやるってこと……?


『はーーい!!』


 私がとまどっている私には目もくれず、双子は元気に返事をしてどこかに走っていってしまった。


「ちょっとハット、これから何するのよ!!」

「何ってきもだめしだよ」

「えっ!?」


聞き返す私に、ハットは呆れて首を振る。


「君はこれから、そこにある赤い旗をたどって歩いて来てくれ」


 ハットが指差した方を見てみると、確かに何本か赤い旗が立って道を作っている。


「それから、私は『ハット』ではない。"マジックハット"だ!フハハハハ!!」



 ハット……じゃなかったマジックハットは怪盗のような変な笑い声を残して消えてしまった。どうやら本気で夜道に私1人にきもだめしをさせる気らしい。確かにハロウィンもきもだめしもお化けの格好をしてるけれど……。全く別物なのに!!



 私は頭痛のしだした頭を抱えながら、仕方なく、ハットがさっき指差した赤い旗の方へ歩いていった。





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