不思議の国のありさ

不思議の国のハロウィン 1



不思議の国のハロウィン




「ちょっと、またこんな夜遅くにどうしたの!?」


 私はまた双子に引っ張られて、夜道を歩いていた。しかし夜道といっても、星の欠片という、蛍のようなぼんやりとした小さな光がそこら中にあって、道を照らしてくれているので、そんなに周りは暗くない。


「ついてくれば分かるって!!」


 ロイドは珍しく午後からどこかに行っていて、まだ帰ってきていない。私は少し不安になりながら、双子に引っ張られるまま歩いていた。



 しばらくすると、星の欠片とは違ったぼんやりとしたオレンジ色の光が見えた。



「ようこそいらっしゃいました」


 ハットの声と共に、一気にそのぼんやりした光が増えた。


 おかげで、ハットがお茶会のようにテーブルクロスを引いて、パーティーのように準備しているのがはっきり見えた。


 よく見ると、ぼんやりとした光は、かぼちゃの形の外装をしたランプだった。そのどれもに顔が書いてあるところを見ると、これはもしかして……。


「……今日も、何かやるの?」


 私が恐る恐る聞いてみると、ハットは楽しそうに答えた。


「今日はハロウィンをやろうと思ってな」

「ハロウィン!?」


 もしかして、また七夕祭りの時のように何かやるのだろうか?


「ということで、君にはこれをかぶってもらおう」


 ハットはそう言って、私に大きなかぼちゃ型のものを渡した。


 『かぶってもらおう』ということは、頭にかぶるものだろう。帽子屋のハットのことだから帽子だろう。下に大きな穴が開いているから、ここに頭を入れられそうだ。しかしかぼちゃ型なんて、ずいぶん形が変だ。



「これ、何?」


 私が一応聞いてみると、ハットは不思議そうな顔をして私を見つめた。


「何って帽子だよ。ハロウィンだから、かぼちゃの帽子をかぶるんだろ?」





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