チェシュとハットの日常 2 ハットが最近やけにお茶の研究に没頭していることは、オレだけじゃなくても不思議の国中のものが知っていた。 ロイドの話によると誰かに誉めてもらえたかららしい。 そんなことはどうでもいい。 大切なことは、その秘密のお茶が完成したことはオレしか知らないということだ。 タナバタの時のお茶は色からして失敗作だったが、普段必死さなんて見せないハットがここまで真剣になって作ったのだから、期待できる。 「君は気が早いなー。もう少し私に達成感という素晴らしい味を味あわせてくれたっていいじゃないか。それとも何か?私の思惑にまんまと引っ掛かったのが気にくわないの…」 「いいから、さっさと飲ませろ!!」 ハットはそんなオレの様子を見て、嫌な笑みを見せた。 ここでもしアリサがいたら、人のことを言えないと言うのかもしれないが、そんなことは今のオレにはどうでも良かった。 「君が私の研究に積極的に協力してくれるなんて、とても嬉しいよ」 「オレは、お前が長年秘密裏に研究していたお茶に興味があるだけだ!!」 「同じことだと思うがな」 「うるさい!!」 何だか、時間が経てば経つほどどんどん形勢が不利になっている気がする。 ハットといるとこれだから嫌だ。さっさと終わらせて帰ろう。 そんなことを考えていたオレの前に、やっと待ちわびていたものがティーカップに入れられて置かれた。 prev/next |