不思議の国のありさ

プロローグ




 ……不思議の国の次は未来の時計!?


 しかも私の!?


 もしかしてその時計が止まった理由って、私がこんなところに連れてこられたからとか!?



「このままじゃ君は、生きなから死んでしまう」



 私はさっきまで少し冷静になったものの、不安と焦りでまた頭に血がのぼって、叫んでしまった。



「もともとその時計壊れてるんじゃないの!? それか、もっと単純で違う理由で壊れたんじゃないの!? 例えば水に落としたとか、どこかにぶつけたとか! だいたいそれは、あんたが私をこんなところに連れてきたからじゃないの!?」

「違う! 僕は君を死なせないために、君をここに連れてきたんだ」



 さっきまでどんな態度とっても、どんなひどいこと言っても、平然としていたロイドがはじめて声を荒げて叫んだ。


 私はびっくりして、頭が真っ白になってしまった。



「……ごめん、アリサ」



 私がそのまま何も言えずにいると、顔を真っ赤にしてロイドが言った。


「……何も考えずに言った私が悪いの。ごめんなさい」


 その変わりようは、私にさっきまでイライラしていたのを忘れさせてしまうほどだった。逆にどんどん申し訳ない気持ちでいっぱいになる。



「アリサはここに来たことがあるのを忘れてるんだったよね」


 ふいに私の頭を優しくなでながら、ロイドが小さくつぶやいた。



 私は何のことか思いだそうとしたけれど、いくら真剣に考えても思いだせなかった。



 そのまま私が何も言えずにいると、ロイドが笑って言った。


「大丈夫、アリサはこの時計を直せるよ」




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