フタゴ編 「呼べばちゃんと来てくれるんだ」 双子の問題を片付けて、すっきりした顔をしている私にまだチェシュはそっぽを向いている。 ……どうやら私をからかうのが相当好きで、相当楽しみにしていたらしい。何て悪趣味。 「それで? どうしてフタゴの問題は解決したのかわかったのかい?」 「うん」 私、大学生になるから大人になりたくて、早く変わりたくて、自分の着たい服さえ着られないことに気づいてなかったんだ。 「まあ別にいいけれどね。だってこれからもまだ、アリサにが解決しなくちゃいけない問題はたくさんあるからね」 「えっ!? 双子のことだけじゃないの?」 チェシュはやっといつものあの嫌な笑みを見せて、驚いている私の方を向いた。 「困っている時は絶対呼んでくれよ。必ず助けに行くから。まあ楽しそうだったら、呼ばれなくても行くけれど」 そして、呆然としている私を残してチェシュはゆっくり姿を消した。 私にやっと分かったことは、チェシュが私が困っている時に、助けを求めている私をイラつかせるためにまた来るということだけだった。 そしてその時は、必ず訪れるのだ。 ……信じたくもないけれど。 不思議の国のありさ フタゴ編 2011.06.07 完結 ハット編へ prev/next |